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癌と化学療法
癌と化学療法社
癌と化学療法

癌と化学療法社

0385-0684

癌と化学療法/Journal 癌と化学療法
正式出版
收录年代

    腫瘍微小環境におけるクローン進展

    上田優輝冨樫庸介
    7页
    查看更多>>摘要:要旨 がん免疫療法は多くのがん種で有効性が示されている一方,治療効果予測が難しいなど多くの課題がある。腫瘍微小環境において腫瘍細胞は免疫から逃避し増殖するため,対峙する免疫細胞は腫瘍細胞を攻撃するためにお互いに変化している。双方がどのようなクローンを選択し,進化をしているかを明らかにすることは新規治療効果予測バイオマーカーや新規治療法の開発にもつながる。こういった腫瘍微小環境におけるクローン進展を正確に理解するためには,不均一で多様性が高い細胞集団に対して塊(バルク)での解析ではなく1細胞レベルでの解析が必要である。近年,シングルセルシークエンスの登場により網羅的な遺伝子発現を解析できるだけでなく,T細胞受容体配列やB細胞受容体配列など特定の領域に絞って解析することも可能になった。さらに組織の位置情報を保持したまま1細胞レベルに近い形で解析する技術も登場するなど技術革新が進んでいる。最近では,同一患者で治療前後のサンプルを用いるなど時系列的な腫瘍微小環境の変化を追い,腫瘍細胞自体やそれに対峙する免疫細胞のクローン進展を解析することで新たな知見が明らかになっている。

    食道扁平上皮癌における抗PD-1療法と放射線治療を用いた複合がん免疫療法の開発

    三村耕作河野浩二
    3页
    查看更多>>摘要:要旨 癌治療が目覚ましい進歩を遂げているなかで,手術療法が可能な食道癌患者の5年生存率は現在においても59.3%にとどまっている。近年,進行?再発の食道癌に対する新たな治療として,抗PD-1抗体が使用されるようになった。しかし,その奏効率は19.3%と期待されていたほどは高くはなく,さらなる効果増強方法の開発が望まれている。本研究では,抗PD-1療法の治療効果を増強させる方法として,局所放射線治療を併用する複合がん免疫療法の可能性について検討した。その結果,食道扁平上皮癌症例では化学放射線療法により約40%の症例で腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞が誘導されていたが,約80%の症例で腫瘍細胞上にPD-L1の発現を認めた。すなわち誘導された腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞は,腫瘍局所でPD-1経路を介して免疫抑制を受けている可能性がある。そのような腫瘍微小環境では,抗PD-1療法の併用が有効であると考えられる。さらなる検討は必要であるが,抗PD-1療法と局所放射線治療を併用する複合がん免疫療法は食道扁平上皮癌症例において有望な治療戦略と期待される。

    術前補助化学療法を行った筋層浸潤性膀胱癌における腫瘍微小免疫環境の解析

    五十嵐大樹北野滋久中面哲也小原航...
    5页
    查看更多>>摘要:要旨 筋層浸潤性膀胱癌における術前補助化学療法(neoadjuvant chemotherapy:NAC)は各種ガイドラインにおいてもその有効性が報告されているが,腫瘍微小免疫環境と臨床効果の関連性にはまだ不明な点が多い。今回われわれは,筋層浸潤性膀胱癌に対してNACを行った症例に対し,蛍光多重免疫染色法を用いた腫瘍微小免疫環境の解析を行った。治療前の膀胱癌検体における腫瘍微小環境内の各免疫担当細胞を蛍光多重免疫染色法により解析したところ,腫瘍浸潤性CD8~+T細胞とCD204~+細胞がNACに対する効果予測因子となり,CD204~+細胞はこれらの患者において予後不良因子となることが明らかとなり,腫瘍微小免疫環境が筋層浸潤性膀胱癌におけるNACのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。

    腫瘍免疫原性と免疫チェックポイント阻害剤

    中島正夫恒富亮一新藤芳太郎徳光幸生...
    6页
    查看更多>>摘要:要旨 免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor:ICI)をはじめとしたがん免疫療法は第四のがん治療法として確立されたといえる。しかし,ICIの奏効率は未だ20%程度であるという現状に直面している。ICIが奏効しない腫瘍は腫瘍免疫原性の低い,いわゆるcold-tumorであることが多く,いかにしてcold-tumorを免疫原性の高いhot-tumorに改変するかということに関して世界中で研究開発が行われている。本稿では,腫瘍免疫原性とICIの関係性および腫瘍免疫原性を高める治療法について概説しなかでもわれわれが研究開発を行っているがんペプチドワクチン療法に関して紹介する.

    肺癌におけるβ-Cateninに注目した免疫チェックポイント阻害薬耐性メカニズムとその克服

    武藤哲史猪俣頌山口光峯勇人...
    4页
    查看更多>>摘要:要旨 免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大は著しいが,長期奏効が得られる患者の割合は限られており,耐性メカ二ズムの解明とその克服は大きな課題である。WNT/β-catenin経路は細胞増殖や上皮間葉移行にかかわり,癌の発生におけるメカニズムの一つとして以前から知られてきた。近年,メラノーマでの報告をはじめとし,WNT/β-catenin経路が癌の免疫逃避にも作用していることが明らかとなってきた。われわれも,肺癌においてWNT/β-catenin経路により癌が免疫から逃れるメカニズムを研究してきた。本稿では肺癌を中心に,WNT/β-catenin経路が癌の免疫逃避と免疫チェックポイント阻害薬の耐性にいかにかかわるか概説する。さらに現在の複合療法や開発中の治療法の観点から,WNT/β-catenin経路による腫瘍免疫逃避メカニズムをいかにしたら克服できるか考察する。

    Upper G. I. Cancer食道?胃癌:総括

    寺島雅典
    2页
    查看更多>>摘要:本号のCurrent Organ Topicsは食道癌?胃癌に対する最新の話題に関して3人の先生に解説いただいた。まず,外科手術療法に関しては,「胃癌に対する低侵襲手術の現況と展望」と題して金沢大学の稲木紀幸先生からご寄稿いただいた。現在,わが国の胃癌治療ガイドラインでは腹腔鏡下胃切除術はcStage Iに対する標準治療の一っとして行うことが推奨されている。一方で,cStage II, IIIに対しては明確な推奨は示されていない。しかしながら,最近報告されたわが国で行われた無作為化比較試験であるJLSSG0901試験の結果,cStage II, IIIに対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除術に対する非劣性が検証された。論文の公表に伴い,進行胃癌に対しても腹腔鏡下幽門側胃切除術は標準治療として推奨されるものと思われる。今後は胃全摘におけるエビデンスの構築が課題とされている。一方,ロボット支援下胃切除に関しては胃癌治療ガイドラインにおいても行うことが推奨されており,2018年の保険収載以降急速に普及している。さらには,先進医療試験の長期フォローの解析で生存が良好であることが示され,2022年診療報酬改定でロボット手術の加算も認められるようになった。今後は前向き試験によるロボット手術の有効性の検証が必要であり,JCOG1907試験の結果が待たれる。

    Upper G. I. Cancer食道?胃癌:I,胃癌に対する低侵襲手術の現況と展望

    木下淳稲木紀幸島田麻里齋藤裕人...
    4页
    查看更多>>摘要:胃癌治療ガイドライン第6版では,CQ 1:cStage I 胃癌に対して腹腔鏡下手術は推奨されるか?において,標準治療の選択肢の一つとして幽門側胃切除は行うことを強く推奨する(合意率100%,エビデンスの強さA)とされ,胃全摘,噴門側胃切除術は行うことを弱く推奨する(合意率100%,エビデンスの強さC)とされている。その他のステージでは腹腔鏡下手術はエビデンスが不十分であり標準治療としては位置付けられていないが,JLSSG0901試験(進行胃癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術の安全性と根治性に関するランダム化第II/III相試験)の長期成績が2022年3月の日本胃癌学会において暫定報告され,腹腔鏡下手術のエビデンスが大きく前進することが期待されている。一方,2018年からは胃癌に対するロボット支援手術が保険収載され,2022年4月からは腹腔鏡を用いた場合より加算が認められることとなり,手術支援ロボットを用いた手術はさらに増加していくことが予想される。本稿では,胃癌に対する腹腔鏡下手術のこれまでのエビデンスとロボット支援手術を含めた低侵襲手術の展望を述べる。

    Upper G. I. Cancer食道?胃癌:II.食道癌に対する補助療法の新展開

    對馬隆浩
    4页
    查看更多>>摘要:本邦における補助療法の開発は,扁平上皮癌を主な対象として日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の食道がんグループを中心に行われ,1978年より今日に至るまで様々な臨床試験が連綿と実施されてきた(表1)。一方,海外においては主に腺癌を対象とし,多くは胃癌と一括して治療開発が進められてきた(表2)。近年,新たな標準治療を確立した試験としてJCOG1109,CheckMate577が報告された。本邦および海外の治療開発の背景とともに考察する。

    Upper G. I. Cancer 食道?胃癌:III,新時代を迎えた進行再発胃癌に対する 化学療法

    緒方貴次室圭
    5页
    查看更多>>摘要:進行再発胃癌の二次治療,三次治療では近年様々な薬剤が承認されている。愛知県がんセンターにおける過去15年間の後方視的検討では,近年になるにつれて全生存期間(OS)が延長することが示されている。新規の薬剤,治療戦略がOSの延長に寄与している結果と考えられる。一方で,一次治療はHER2陽性胃癌に対するトラスツズマブ(Tmab)が2011年に薬事承認されて以降は大きな変化はなく,HER2陰性胃癌ではSPIRITS試験が報告されてからはフッ化ピリミジン(FPs)+プラチナ系薬剤が標準治療である時代が続いた。しかし2021年11月にHER2陰性胃癌の一次治療として化学療法(Chemo)と二ボルマブ(Nivo)の併用が保険償還され,一次治療が大きく変化した。また,胃癌の治療標的はHER2のみであったが,FGFRやクローディン18.2(CLDN 18.2)に対する治療開発が進んでいる。本稿では胃癌の治療開発に関して解説する。

    非小細胞肺癌でのβ-Catenin発現と免疫チェックポイント阻害薬の治療効果

    武藤哲史猪俣頌山口光峯勇人...
    3页
    查看更多>>摘要:要旨 近年β-cateninによる抗腫瘍免疫逃避メカニズムカヾ報告されている。そこで非小細胞肺癌において免疫チェックポイント阻害薬の治療抵抗性と関係があるか検討を行った。その結果β-cateninを高発現する非小細胞肺癌では,抗PD-1抗体単剤による無増悪生存期間,全生存期間とも明らかに予後不良であった。CD8陽性細胞や抗原提示細胞の腫瘍内浸潤も少なかった。マイクロアレイでもCD8AやIFNGの遺伝子発現が低かった。β-catenin陽性肺癌細胞株のLK-2においてsiRNAでCTNNB1をノックダウンすると,CTNNB1, ATF3の発現が低下しCCL4の発現が上昇する傾向にあった。非小細胞肺癌においてもβ-cateninによるCCL4の産生低下を介して,抗原提示細胞の腫瘍内浸潤を抑制し免疫チェックポイント阻害薬に対して治療抵抗性を示すメカニズムが示唆された。