查看更多>>摘要:箱根火山2015年噴火の噴出中心となった大涌谷は,年間300万人の観光客が訪れるとされる国内有数の観光地であるが,この噴火で新たに生じた火口は,観光客が散策する領域からわずか200 mほどしか離れていない(例えば,Mannen et al., 2018)。また,大涌谷の近傍には,2015年噴火よりもはるかに大規模な水蒸気噴火の給源となったと考えられる火口地形が複数認められる(例えば,山ロほか,2021)。こうしたことから,噴火前に立入規制などの防災行動をとることは人命保護の観点からきわめて重要である。一方,箱根火山では山体のわずかな膨張や地震活動の活発化は必ずしも珍しい現象ではなく,2001年以降は数年に1度の頻度で発生している。したがって,活発化のたびに経済的な損失の大きい規制を行うのは難しい。観光客や住民の生命を守りつつ,経済的な損失を最小化する火山防災対応をとるためには,噴火にいたる過程を理解して,噴火の切迫度を評価することは重要である。箱根火山の研究に長年従事している神奈川県温泉地学研究所では2015年噴火の解析を行うことと並行して,上のような問題意識に基づいて,英文誌Earth,Planets and Spaceでの特集号編集や(Mannen et al., 2019),研究集会の実施を通じて,今後の研究や火山監視の方向性を検討するために必要な知見の集約に努めている(安部,2019;萬年?加藤,2020)。本特集号は,地元企業?団体,箱根町および東京地学協会の助成を受けて,2020年1月に神奈川県立生命の星?地球博物館と共催で実施した「水蒸気噴火のメ力ニズムに関する国際ワークショップ」で行われた講演や,その後の研究を基にした論文を収録する。