近年、中間周波数帯の電磁界の利用が増加しているが、その生物影響については、ほとんど研究されていない。本研究では、中間周波磁界の生物影響に関する科学的知見を得るために、細胞試験用の中間周波磁界曝露装置を開発し、微生物復帰変異試験により磁界の変異原性について検討した。その結果、2kHzで910μT(国際ガイドラインの146倍)、20kHzで1.1mT(176倍)、60Hzでは110μT(18倍)の磁界を発生できるヘルムホルツ型の中間周波磁界曝露装置を開発できた。この装置を用い、様々な点突然変異を検出できる合計6種類の試験菌株に対し、2kHz、20kHzおよび60Hzの磁界を、最高磁束密度で、それぞれ48時間曝露した。その結果、いずれの菌株でも再現性のある有意な復帰変異コロニー数の増加は見られなかったことから、本研究で検討した高いレベルの中間周波磁界に、変異原性がないことが明らかとなった。