商用周波磁界の遺伝子変異に与える影響について微生物変異原性試験法を用い検討した。サルモネラ菌TA1535、TA1537、TA98、TA100および大腸菌WP2 uvrA、WP2 uvrA/pKM101を用い、50Hz、14mTrmsの回転円磁界を48時間曝露した。また、同様の磁界曝露条件のもとで、化学変異原の変異原性に与える影響(助変異原性)も検討した。化学変異原としてDNA反応性の変異原3種、代謝活性化によりDNA反応性となる変異原、塩基アナログ、フレームシフト型変異原、ラジカル変異原二種を用いた。いずれの場合も、磁界曝露による、復帰変異コロニー数に統計的に有為でかつ再現性のある変化は見られなかった。このことから、14mT以下の商用周波磁界は、直接および間接的に遺伝子に作用し変異を起こす可能性が極めて低いことが示された。